2018.03.20 (火)

アート&サイエンスリサーチレジデンスをこの秋開催

この秋、BioClubではフィンランドのアートとサイエンス分野ををつなぐ機関であるBioArtSociety、東京のフィンランドセンターと共同でアート&サイエンスリサーチレジデンスを開催します。

3月に行った審査の結果、ヘルシンキを拠点に活動する Christina Stadlbauerの「Ceramic Scar Tissue - A Kin Tsugi Experiment」を選出しました。彼女の提案は日本の伝統技術と現代のバイオテクノロジーが芸術的なコンセプトによって融合しており、また、伝統技術の専門家とのコラボレーションやBioclubのネットワークを活用した活動が生みだされるという期待から選出されました。アーティストは一ヶ月の間FabCafeMTRLを拠点にリサーチをおこなます。

Christina Stadlbauer
ヘルシンキに拠点を置くアーティスト・研究者。Christinaは化学の博士号を取得し、2008年以来、養蜂やそれを取り巻く環境、植物のセンシング、コミュニケーション、生態学などを中心に芸術と科学の間に焦点を置いた活動を行っています。また、ヘルシンキで金継ぎのワークグループを運営しています。彼女はプロセスの複雑さに関心があり、物理的空間、非物理的環境問わず、環境に身を置いて創作しています。彼女は有形の物、屋外の公共施設、一時的な介入と状況を作り出しています。彼女の作品は、ヨーロッパと世界中で公開されています。

「Ceramic Scar Tissue - A Kin Tsugi Experiment」  
A Kin Tsugi Experiment to Grow Instead of Glue Broken Ceramics
金継ぎは、植物由来の漆塗料である漆を使って壊れた陶器を修復し、金や銀を塗って修理する伝統的な日本工芸技術です。損傷の痕跡を隠そうとする修復の他の修理アプローチとは対照的に、物体の亀裂または欠陥は美的に強調され、装飾に昇華されています。この技術は16世紀後半から侘び寂びの概念に由来しています。これは、プロセスと不完全性の受容を前提とする世界観です。審美的な美しさは、「不完全かつ永久的な」美しさの1つと言えるでしょう。「Ceramic Scar Tissue - A Kin Tsugi Experiment」では、生命体を「接着剤」として捉え「生きている」システムへのダメージの改善という考えを持ち、「癒し」の概念を導入したいと考えています。この研究は、バイオーム、細菌、真菌等、どのような生体材料が適切であるかに焦点を当て、壊れたセラミック表面において「生きた接着剤」のためにどんな成長の条件が必要なのかをリサーチします。

アーティストの活動の様子はトークやワークショップなどのイベントを行い、公式サイトブログで公開していきます。


The Bioartsociety(バイオアートソサエティ)
2008年5月にラップランドのKilpisjärviBiological Stationに設立。生物学、生態学、生命科学に重点を置き、芸術と自然科学に関する活動を企画・協働している。ヘルシンキ大学のKilpisjärvi Biological Stationとラップランドの亜寒帯環境下でのアート&サイエンスリサーチプログラムを行っている。https://bioartsociety.fi/ 

Finnish Institute in Japan(フィンランドセンター)
東京を拠点とするフィンランドと日本間の文化交流発展を支援する機関。フィンランドと日本のアーティストのためのアーティストレジンデンスも行っておりローカルに根ざしたアートプログラムやプロジェクトを運営。http://www.finstitute.jp/