2023.09.19 (火) 19:00 –

塚本隆大: 生体を素材としたアートであるバイオ・アートと倫理の問題について―実際の作例とリサーチから考える―

Date

2023.09.19 (火)

Time

19:00

Place

BioClub Tokyo

Fee

無料

Place

https://zoom.bioclub.tokyo

動物や植物、あるいはバクテリアなどの微生物から細胞まで、バイオ・アートは生体を素材としたアートの一種です。これらの実践は、我々にあたりまえのものとして埋め込まれてきた、様々な前提を揺り動かしてきました。

ある作品は、我々の生命観が、人間を軸として作りあげられた人為的なものであることを示しています。また別の作品は、我々が、他の生物種へと振るう行為の内に潜む、暴力性を露わにします。更には、生命の操作や創造を可能とするテクノロジー―クローン技術や遺伝子編集、人工細胞の登場など―の発展の裏にある、様々な権力性や危険性を明らかにしてきました。
こうした新たな視点の提示は、大きな意義を持っています。近年の人新世の言説の隆盛や、更なるテクノロジーの進歩が生まれる中、ますます重要なものとなっていくでしょう。
しかし、アートの名のもとで、人間の手によって生体を扱うことに倫理的な問題はないのでしょうか?
ある研究者は生命倫理学の立場から、その正当性を主張します。しかし、動物倫理学の視点からは、それが揺らぐこともあります。また、倫理“学”というレベルではない、素朴な感覚としての倫理から何か言い得ることがあるかもしれません。
本講演は、バイオ・アートが生体を扱うことの倫理の問題を、実際の作例と発表者自身のリサーチ、倫理にまつわる様々な学問的取り組みを材料としながら、皆さんと考えていくものです

塚本隆大について

東京芸術大学美術学部芸術学科を卒業後、東京大学大学院総合文化研究科 超域文化科学専攻(文化人類学)修士課程へ進学。現在は、東京大学大学院総合文化研究科 超域文化科学専攻(文化人類学) 博士課程に在籍。東京大学大学院卓越大学院グローバル・スタディーズ・イニシアティブ 卓越リサーチアシスタント。
バイオ・アートのプラットフォーム metaPhorest のメンバーとして、リサーチを行う。